2011年3月1日火曜日

第8回:石渡嶺司『最高学府はバカだらけ~全入時代の大学「崖っぷち」事情~』光文社新書

大学・大学生のことについて論じたもの、
ましてや批判したものなら是非とも読まねばならぬ。
(批判されるのはやはりイヤだが、
知らない・気づかないこと、そう見られている等がわかる。
これを嫌うもののリスクは極めて高くなろう。)

第1章 アホ大学のバカ学生(講義・就活現状レポート)
第2章 バカ学生を生む犯人は誰か?(大学・高校・文科省・家庭・企業の5説)
第3章 バカ学生の生みの親はやはり大学!?
第4章 大学の情報公開をめぐる二つの講演
第5章 ジコチューな超難関大
第6章 「崖っぷち大学」サバイバル
終章  バカ学生はバカ学生のままか?

もう少し、第1章にあるような現状報告があるかと思っていたが以外に少なかった。
また「なぜこういう状態に至ったか?」ではなく、
「誰が犯人(こういう風にしたのか)?」の分析をしており、
「悪いのは(どうも)大学たけど」、
「大学には可能性があり、(一部の大学が始めたような)"面倒見がいい大学"になれ」、
「そんな大学を選べ」という結論は「それなりに」納得はできる。

著者は1975年生まれ。
私立北嶺中学・高校
代ゼミ
東洋大学社会学部
派遣社員、無職、編集プロダクション勤務
2003年ライター(主に大学・教育・就活問題、『○○選び本』中心)

なんか、わかる気がしないか?
「何が」という原因分析でなく、
「誰が」という犯人分析をする。

相当の才を持っているのではないかと推測される。
だが、試験勉強は性に合わなかった。
彼の「コンプレックス」が大学・就活問題に関心を持たせるのではないか。
調べる過程、インタビュー等々で、
「今の自分」にした「大学の正体」が「見えてきた」。
それが、この一作となっている。

だが、惜しいなぁ…。
「彼は大学で化けたのだろうか?」
化ける必要がない(?)バカ学生でなくとも、
「大学でどう成長したのだろうか?」
その「視点」がないようだ。
だから、「犯人探し」しかできない。
この問題を引き起こしている「何、原因、構造」を
問題としない、解明しようとしないのではないだろうか。
(それが大学で学ぶことだから…)

惜しいなぁ…。
結局、これまで何冊も出してきている「ランキング本」と同じ、
「大学選び本」になってしまっている…。

投稿日:2011年02月18日 (金) 13時25分

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