2011年4月17日日曜日

三つの箱から世間を覗く(第54回)

「東京に"支配された"東北」

「東京のために、福島(東北)が犠牲になった。
福島は、なんの恩恵も受けていない。」
という、(何度も聞いている)福島県民の声を、最初に持ってきて、
TBS「サンディ・モーニング」(2011.4.17)の「特集」が始まった。

「私は新潟出身。東北と同じように"裏日本"と軽侮されてきた。」
「東京に原発を。」
ついには、「田村麻呂、比羅夫に征伐された"東北"」という議論まで飛び出した。
「ああ、そう言われれば、そうだなぁ」という人も結構いるんじゃないだろうか?

「おいおい、"征伐"されたのは、"東北"ではなく"蝦夷"ではないのか?
それに、"征伐"されたのは、"東北(蝦夷)"だけではなく"南九州(熊襲)"もではないのか?」

「全国統一」を否定するなら、織田信長をなぜ英雄視するんだ?
家康の「全国統一」を否定する議論は聞かないぞ。

○福島は、「何の恩恵も受けず、一方的に東京の犠牲になった」という認識は「正しい」か?

原発は危険性が高いだけでなく、工場と違い雇用数もたいしたことがないという。
その代わりが「電源三法交付金」(下のコピペタ参照)である。
数百億から一千億円超が支払われる。勿論、消費者の電気料金が元だ。

つまり、東京(なぜ東京だけなんだ?)が福島に金を払って建設しているのだ。
「貰った実感がない」のは、使途に関心を持たず、無駄遣いしたからに他なるまい(資料参照)。
(払っている方も、日本人だから当然認識がない。)
金を貰いながら、無駄遣いをしておいて、文句は言う。
自分たちが、そんな見っとも無いことをし、言っていることに気付けない彼らの姿を映すTV。
なんと、無責任で、不人情なのか?
原発誘致をしたものや、金の使い方を決めたもの達にインタビューすべきではないのか?
原発立国を推進してきた自民党に聞くことはないのか?

「福島は東京の犠牲になった」という物言いは、ズルイ。
福島県の住民が東京の住民の犠牲になった、と言っているつもりはあるまい。
じゃ、「東京」とは何を指しているのか?
地方が中央に向ける感情を、「正義」の衣をまとわせ声高に、
被災者たちに言わせるのはもう止めたらどうだろうか?
そして、政府と東電という「加害者」vs我々国民「被害者」という図式にも乗るな!!

政府と東電の責任・罪は大きい、大き過ぎる。
だが、電気を大量に使って(30,40年代と比較せよ!)生活をしていたのは、
東京・福島をはじめ我々全国民なのだ!ということに気付くべきだ。

気付いていない。
だから、自粛は止めて金を使え、という。
原発による電気を使って…。

原発は「押し付けられた」ものではない。
自分たちが選んだことに気付かねばならない。

※今回の東日本大震災には関心を強く持ってきた。
三陸の津波被災者の悲しみと虚しさを思うと、
(想像しきれないだろうし)
ただ、黙るしかなく、
原発の災禍にあっている福島の人々の辛さと怒り・腹立たしさも
本当に申し訳ないが、(当事者でない限り)共有できない。
そんな立場のものが、被災者の言動について批判がましいことを言うのは、
日本人なら慎むべきであろう、ということはわかっているが、
復興・再建、日本の未来につながることは語らせてもらう。


「電源三法交付金」(資料)
 いわゆる電源三法とは、1974年6月3日に成立した次の3つの法律をさしています。

•電源開発促進税法
•電源開発促進対策特別会計法
•発電用施設周辺地域整備法
 電力会社は販売電力量に応じ、
1,000キロワットアワーにつき425円を、
電源開発促進税として国に納付しています(電源開発促進税法)。
このうち、 190円が電源立地勘定で、2
35円が電源多様化勘定(2003年10月法改正により「電源利用勘定」に名称変更)となります。
2003年予算で、この税の総額は4855億円になります。
(電源開発促進税率は、今後段階的に引き下げられる予定。)
 もちろん最終的にこの税金の負担は、消費者が電力料金に上乗せされて支払っています。
 納められた税金は、特別会計に組み込まれ、
発電所など関連施設の立地及び周辺市町村に対し交付金などの財源にあてられます
(電源開発促進対策特別会計法)。


個々の自治体にどれくらいの交付金が支払われるかというと、
出力135万kwの原発が建設される場合が、資源エネルギー庁のホームページに紹介されています。

 ◎建設費用は約4500億円。建設期間7年間、という前提
 ◎運転開始10年前から、10年間で391億円。
 ◎運転開始後10年間で固定資産税も入れて計502億円。

地域の豪華施設
 福島県東部の太平洋に面した浜通り地方のほぼ中央に位置する福島県双葉郡楢葉町。
人口8300人余りのこの町の町役場に隣接する三階建ての「町コミュニティセンター」(写真右)は、
収容人員八百人の大ホールを有する双葉郡内最大の文化施設です。
国の電源三法交付金を使って建設し1985年にオープンしました。
年間を通じてコンサートやミュージカル公演などが行われ、町民の文化活動の核になっています。
しかし、現在維持管理には年間七千万円ほどかかります。
催し物の主催者が支払う使用料だけではとてもまかない切れないようです。

 電源三法交付金は、発電所の立地を早めに進めることを大きな狙いとしているため、
発電所着工から短期間で自治体に支払われます。
三法交付金のうち、楢葉町がコミュニティセンター建設に活用した
「電源立地促進対策交付金」は発電所の着工から運転開始の五年目まで、
道路建設、教育文化施設などの整備に充てることができます。
町は同センター以外にも、陸上競技場や野球場などを配置した町総合グラウンド、
天神岬スポーツ公園などの施設を交付金でつくりました。
いずれの施設も今年間二千万円以上の維持管理費を必要としていますが、
それが自治体の財政を圧迫しています。
こうした状況は各地の立地自治体に共通しているようです。

以上は、http://www.nuketext.org/yasui_koufukin.html。
もっと色々と「面白い」ことが書いてある。


「Wiki」より
電源三法交付金の実情朝日新聞の調べ[2]によると、
2004年度(予算ベース)での電源三法交付金は約824億円に上るとされている。
うち、福島第一、第二原発を抱える福島県では約130億円、
柏崎刈羽原発を抱える新潟県では約121億円、
敦賀、美浜、大飯、高浜原発を抱える福井県では約113億円、
六ヶ所村核燃料再処理施設や放射性廃棄物管理施設を抱える青森県では約89億円となっている。

使用状況の実例は、(財)電源地域振興センターの「電源三法活用事例集」[3]に詳しく記載されている。

1 件のコメント:

  1. 太田(3期生)です。
    学生時代に自転車で日本の各地を自転車で旅行している際、
    人通りが少ないにもかかわらず不相応に豪奢な公共施設が建っている
    地区を見かけることが間々あったのですが、そうした地区は例外なく
    次のいずれかに必ず該当しておりました。
    ○原発が近くにある
    ○大物政治家を輩出している
    ※自動車のスピードだと気づきにくいのですが、広島から山口に入った途端に
    道路の色が綺麗になります。

    先生からご紹介いただくまで、電源三法交付金についての知識がまったく
    なかったのですが、改めてランニングコスト以外の原発固有の費用
    (廃炉時に必要な廃棄費用、交付金、等々)をしっかりと計算に含めても
    メリットがある事業であったのかという疑問が湧きあがってまいりました。
    たとえ地震や津波による放射能漏れを「想定外」と認めたとしても、
    当時の地方自治体の為政者と、電力会社と、設備を提供する大手重電機器
    業者と、族議員の利益によって誤った判断がなされたのではないかを
    明らかにしたいところです。

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