2011年5月4日水曜日

三つの箱から世間を覗く(第69回)

「外食で食中毒にならないのは…?~焼肉屋食中毒事件②~」

①4月19日より26日の間に「焼肉酒家えびす」が集団食中毒事故をおこし、
富山、神奈川、福井の3県の患者は計65人(死者2人を含む)にのぼり、
全店は営業中止、富山県警・福井県警が業務上過失致死傷容疑で捜査本部を設置したという。

5/2(第67回)に「富山焼肉店事故の報道の仕方」としてとりあげた。
太田君がいいコメントを付けてくれた。
「この件については、食肉卸業者に「騙されて」いたかどうかは
全く抗弁理由にならないと私は考えております。
これが未認可添加物の使用の有無といった、外観上も検査からも判別できない
事項ならばまだ情状酌量の余地はありますが、生食用か否かの目利きも出来ずに
食材を購入するべきではなく、もし目利きの自信がないならば如何に安心できる
卸業者を選択するかに注力するのが筋のはずです。」

その後の報道で、太田君の指摘が焦点であることがはっきりしてきた。
・「生食用」に屠畜・精肉化されているものと、それ以外の「加熱要」の肉の2種類がある、
 というのが、大方の認識じゃないか?
・だが、馬肉は別として、牛豚鶏などに関しては、09年度は「生食用」として出荷された実績はない。
 (ここあたりがよくわからないなぁ…。その資格を持つ屠畜場もあるというのに。)
・98年に「生食用食肉等の安全性確保について」に定められた衛生基準に従って、提供されているらしい。
 殺菌処理しているとの前提で仕入れた肉を、独自の管理基準を作って管理(細菌検査や調理器具の消毒等)し販売している。

②そうだったんだ…。
我々は「肉食民族」じゃないなぁ…。
だって、魚(刺身)と同じじゃないか?
だが、私以外のみんなも、「生食用/加熱用」が「画然」と分けられている、
と(どこかで)思っていなかったか?

考えてみりゃ、「魚と同じ」でも、全く不思議じゃない。
そういうもののはずだ。

③だが、どうも「そういうもののはず」ではないようにしろ、という声を聞く。

 「生肉を規制しなければ、同じような惨事が起こる可能性はある」。
焼き肉チェーン店を経営するフーズ・フォーラス(金沢市)が2日に開いた記者会見で、勘坂康弘社長は語った。
「生肉」に関する国の衛生基準に罰則がなく、全国の焼き肉店で提供される生肉の大半は、国の基準を満たしていないとみられる。
(毎日新聞 5月3日)

今日(5月4日)の朝のTVでも、焼肉屋数十軒へのアンケートで
「国が規制/店が自己管理(肉の素性は明確化)」の回答は大体半々だった。
スタジオにいる連中は、「国が"生食用"を保証せよ」という。

確かに、魚屋には「生食用」として売っている。
私たちは、魚に関してトーシローだから、「生でたべられるよ」と言われなきゃわからない。
だが、その「生食用魚介」は冷蔵庫に保管するし、冊から切り分けるとき、まな板も包丁も気を付ける。
生肉には(魚と違い、)菌が最初から付いていて、それを処理するのに家庭では難しい(面倒)という。

④何が言いたいのか?
「生食用」だから「安心」ではないんじゃないか?
「生で食べられる」ように飲食店がきちんと衛生管理しなければ、
「生は危ない」のだ。

(蓮舫消費者・食品安全担当相は2日の記者会見で、
「飲食店で生肉料理を食べる際は、加熱用の食品を使っていないか確認してほしい」と呼び掛けた。
蓮舫は、きちんとレクチャー受けたのか?
コンビニ視察でお茶を濁せることじゃないんだぜ?
(どんどん馬脚を現わし出したなぁ…)

過去報道された「焼肉屋食中毒」は、焼き肉たむら、焼き肉安安というチェーン店だ。
(勿論、他でも事故を起こしているが報道されていないだけかもしれないが)
チェーン店化とはマニュアル化に他ならず、
プロの仕事をアマにさせるということだろう。
「生食可」の目利きもプロの仕事である。
「生食可」のお墨付きをお上に求めるようになれば、
生肉の衛生管理・処理の意識・技量・質は?
「焼肉酒家えびす」では、4店で発生している。

勘坂康弘社長は「(ユッケとして)肉を生で提供することの危険性は認識していたが、
企業体質の甘さから検査を休止していた。反省、後悔している」と謝罪した。
 フーズ・フォーラスによると、最後に検査したのは09年7月29日。
それ以前の数年間は定期的に実施していたが、一度も菌が検出されなかったなどの理由でやめたという。
(北日本新聞 2011年05月03日)

私は、生魚は食べるが、ユッケやレバ刺しは食べん。
だが、子供や学生と一緒に焼き肉は食べる。
最近こそ、頼まなくてもトングを持ってきてくれる店が出てきた。
だが、少し前まではどこでも、私は店員に、「食事用」じゃない「肉焼き用」の箸を頼んでいた。
「口に運ぶ箸で、生肉を挟む危険性」を店側は認識していなかったのだ!

「全国焼肉協会」には、全国1400店が加盟するという。
どこで、安全に「焼き肉」を食べることができるだろうか?

1 件のコメント:

  1. 太田(3期生)です。
    蓮舫行政刷新担当大臣の「蓮舫公式サイト」を確認しました。
    サイトにアップロードされた閣議後記者会見の動画を再生いたしました
    ところ、「全国の消費者の皆様に是非ともお願いしたい点」として、
    大臣は次の2点を挙げていました。

    ○生肉の料理を食べるときには、加熱用として販売されている食品でない
    ことを飲食店等にご確認いただきたい。
    ○生肉の料理を子供・ご高齢者・健康状態がすぐれない大人が食べることは
    控えていただきたい。

    このうち、2点目は「肉・魚等の生ものとそれ以外の食材とではまな板を
    使い分けましょう」、「肉・魚は十分に熱してからお召し上がりください」
    といった内容と変わりなく、特に問題はありません。
    先生も取り上げられた1点目の呼びかけは笑止千万です。

    不謹慎かもしれないのですが、蓮舫大臣の発言の不適当さを確認するために、
    他の事例にたとえてみます。
    (医療事故問題を受けて)
    「医療行為を受けられる方に是非ともお願いしたいのですが、点滴を
     受けられる際には、ご自分の症状に適した薬剤であることを担当医師又は
     看護師にご確認ください。」
    (耐震偽装問題を受けて)
    「家をご購入の際には、構造計算書が適正であることを是非とも担当建築士に
     ご確認ください。」
    これでは数年前に流行した安っぽい自己責任論と変わりありません。

    一人の人間が食肉取扱業者や医師や建築士と同様の見識を持つことは極めて
    困難です。またそうした専門家の優劣を判断することさえ難しいものです。
    ですから、消費者が安心して生活するためにはプロがプロとして信頼できる、
    信頼されるように制度化するのが行政の務めであり、許認可制度や国家資格
    制度はそのためにあるはずです。
    蓮舫大臣の答弁からは、「管轄保健所を通じて食品衛生法に基づく営業許可を
    与えたのは誰なのだ」という視点が欠落しているように思われます。

    「営業許可を与えている店舗においてこのような事故が生じたことに関し、
    国としての管理体制の甘さを痛感しております。生肉を取り扱う事業に
    ついては食中毒のリスクが高いことを勘案し、今後は次のような方向性で
    管理体制を見直すことを検討します。
    ○営業許可の有効期間の短縮
    ○抜き打ちによる菌数検査の実施
    ○営業許可証以外に、上記抜き打ち検査の結果安全であることを証する
    何らかのマーク(看板)の付与」

    たとえばこんな感じの答弁であれば、私も蓮舫大臣に拍手を送りたいと
    思います(厚生労働大臣への根回しが難しいかも)。

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