2011年6月26日日曜日

三つの箱から世間を覗く(第96回)

「限定された知① ~研究者~」

日本テレビ「金プラ!!"最高脳"」(2011/6/24,19:00~21:00)という番組を見た。

東大、京大、筑波、早・慶の5校の理工系の教授と学生2、3名の5チームと
タレント6名(石田純一がリーダー)の1チームが、
中高生レベルの物理の知識の理解力・応用力を競う。

私が見たのは、3問だけだった。
一つは、長さ3~4mの板の一方の端に重りを取り付けたものと、
何もつけないものの2枚を立ててから、同時に手を放して、
どちらが先に地面につくか、を推測する問題。

2つ目は、
同じゴム風船2個に入れる空気量を変えた大小のゴム風船を
空気が行き来できるようにパイプでつなげておく。
最初は、空気の流れを止めておき、一挙に開放すると、
2つのゴム風船はどうなるか?
①大が膨らむ、
②小が膨らむ、
③同じ大きさになる、
の3択問題。

驚いた!空気圧のことは考慮しても、
ゴムの弾性については考えなかった、
と答えた教授2名。理由説明の時に口にしたのは0名!!

彼らがやっている実験の基本的性格、姿勢がうかがえる。
ある仮説を証明するために、
ある1つの関数・変数だけを調べるものではないだろうか?
科学は対象と方法を限定することにより成り立つ。

空気量の違いより大小が生まれている。
大小により空気圧に差が生まれている。
その空気圧に着目するのは、「正しい」。

だが、空気圧の差で風船のゴムに影響を与えることを見落とす。
実験室では、他の条件を一定にし、
1つの変数を変えていくとどうなるか?と、やっているのだろう…。
その「頭」で問題を解くのだから、
中高生レベルの物理の知識さえ「使えない」のだなあ…。

企業の実験、開発はどうしているのだろうか?
対象をトータルに見ない開発は、「失敗」するだろうなあ…。

科学と違い、哲学は、
・「意味」を問う。○○とは何か?
・「機能」ではなく「存在」を問う。
・「部分」ではなく「全体」を「総合的」に問う。

開発チームリーダーには、「哲学的発想・思考」が絶対に必要であることがわかろう。

受験秀才がダメなのも、
理系の社長が少ないのも、理解できよう。

面白い・わかる授業、学術書とビジネス書の違いなども
ここから論じることができる。

私は、途中から見た。最初から見たい。
何度か見たい。学生たちにも見せたい。
1年で1,2位の優れた番組だろう。

再放送してくれないかなあ…。
皆も、気を付けておいて、再放送があったら、
是非、見て欲しい。

1 件のコメント:

  1. S山です

    これですか?

    http://v.youku.com/v_show/id_XMjc5MjMwOTky.html

    いつまで見れるかわかりませんが・・

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